​東京朝鮮高校生の裁判を支援する会 総会&高裁での逆転勝利へ!集会 開催のご報告

​東京朝鮮高校生の裁判を支援する会
総会&高裁での逆転勝利へ!集会
開催のご報告


​ 2018年2月18日午後、東京朝鮮高校生の裁判を支援する会の総会と、控訴審を目前にした「再決起集会」が行われました。晴れて日差しは強いものの風の冷たい日曜日の午後でしたが、会場の文京区民センターには約380名の支援者・学校関係者が結集し、高校生約40名の参加も得て、室内は暖房を切っても十分暖かいほど熱気あふれる集会となりました。

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東京朝鮮高校生の裁判を支援する会総会

 議長に堀純さんを選出し、活動報告と活動方針の提起を共同代表の長谷川和男さんが行いました。大阪の歴史的判決と広島と東京の不当判決の問題を中心に、裁判以外の東京での様々な行動が報告されました。文科省要請や都生活文化局への要請、全国との交流や韓国との交流、朝鮮学園との交流などが行動日程にびっしりと記載されていて、この1年間もたゆまず活動が展開されてきたことがわかります。しかし東京地裁判決は広島判決に輪をかけて酷い内容で、この地裁判決を覆し逆転勝訴を勝ち取らなければならないとの決意を皆で共有しました。

 会計報告と予算提案:会計担当の森本孝子さんより、皆さんの会費とカンパ(羊羹売り上げカンパ等)の協力により毎年100万円を裁判のためのスンリ基金にカンパし、ヨンピル通信発行等の費用としている報告と会計監査報告があり、会場の拍手で了承されたとともに、会計担当の中野宣子さんより2018年度予算提案があり、継続してスンリ基金へのカンパを行う等の予算案の提案がされました。会場からの意見として、予算の残金見込みが多額であるため、裁判のためのスンリ基金を100万円と決めてしまわず増額することを事務局で検討してほしいと要望が出され、事務局が検討することになりました。

 続いて松野哲二さんより新事務局体制が提案され、控訴審に向けて巻き返す決意も含めて拍手で承認され、議長の堀さんも裁判で「当然の判決」を勝ち取っていこう、と呼びかけ、最後に2017年度分のスンリ基金への支援金として100万円を朝鮮高級学校槇吉雄校長へ会計森本さんから贈呈しました。

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 槇校長は「私はこのお金をただのお金だとは思っていない、応援してくださる方々の真心だと思っている。明日学校で生徒たちに報告する。三年生は卒業を2週間後に控えている。無償化闘争がいかに正当で、学校が素晴らしい教育を行っているか、私たちは確信を持っている。スンリ基金は裁判闘争に伴う諸費用と、弁護士の方々の交通費に充てている。弁護士の方々は手弁当でこの裁判を担ってくださっている。」等の謝辞を述べられました。
 
 
再決起集会

 司会の柏崎正憲さんが逆転勝訴に向けて再決起するという「集会趣旨」を力強く読み上げて、再決起集会が始められました。昨年9月13日に原告請求棄却という大変不条理な判決が出されたが、裁判支援の会も気を取り直して、3月20日に始まる控訴審に向かうのだ!という気迫が、集会全体にみなぎりました。2月の全国行動月間の行動一覧表も提起されました。ご参照ください。

 続いて動画『海を越え、ウリハッキョを紹介します』(ドキュ創作所)が上映されました。韓国で作られてYoutubeで2017年11月から公開されているもので、今回日本語字幕バージョンを上映しました。短いがわかりやすく印象的にまとめられていて、暖かい思いの伝わるものでした。

■演題1:
東京朝鮮高校生裁判・控訴審の展望(東京朝鮮高校生裁判弁護団 3名)


 最初に弁護団の李春煕弁護士が、控訴審の現状を話されました。

集会-1


 「昨年9月13日に東京地裁で許せない判決が出された。申し訳ない。私たち弁護団は絶対に勝つ、と言ってきたが、結果的に不当判決だった。」と前置きされたうえで、控訴理由書をすぐに(控訴状から50日以内に)提出しなければならないという控訴審の手続きを説明しつつ、今回は控訴理由書をいつまでに出すか、第1回口頭弁論前に打ち合わせ期日を設けることは異例だが、高裁が打ち合わせ期日を入れたいと言って11月28日の裁判所と弁護団・国側の打ち合わせを経て控訴理由書を12月18日までに裁判所に提出することになった経過が語られました。地裁で行われた3年分の審理内容をふまえた判決に対して、いわば1回勝負の控訴理由書で反論を主張しなければならない、しかも最近の民事裁判は「控訴審1回か2回で結審」という運営になって、刑事裁判と同じように「一審判決の何が間違っているか」だけをみるようになり、控訴審で新たな証拠を出して主張することが難しくなっている、そういう状況の中で、どのような控訴理由書を提出したのか、要点を説明していただきました。

1 前提

 被告(日本政府)が主張する、就学支援金不支給の理由は、①ハの規定を削除したこと。

(注【高校無償化法施行規則1条1項2号ハ】「イ及びロに掲げるもののほか、文部科学大臣が定めるとことにより。高等学校の課程に類する課程を置くものと認められるものとして、文部科学大臣が指定したもの」を2013年2月に削除した。)
および理由②指定に関する規定(本件規定)に基づき、同規定に定める指定の基準への適合性を審査してきたところ、同規定13条に適合すると認めるに至らなかったこと。 

(注【本件規定13条】本件規定12条に規定するもののほか、指定教育施設は、高等学校就学支援金の授業料に係る債権への確実な充当など法令に基づく学校の運営を適正に行わなければならない。)

2 「ハの規定削除」の違法性について何の検討もしなかったことの誤り

   裁判所はまず「ハの規定削除」について検討すべきであり、一審判決は「ハの削除」問題から逃れて書いたものである。2013年2月20日に「規定3条に適合すると認めるに至らない」と判断したのは、「ハの規定削除」によって、有識者による審査会の結論が出るのを待たず、「適合する」という結論を出す前に無理やり判断することになったから。「朝鮮総連から不当な支配を受けている疑いがあるから」の理由は後出しで加えられたもの。

3 「ハの規定削除」は明らかに政治的・外交的理由であること。

4 規定13条に「適合すると認めるに至らない」とした文部科学大臣の判断は、裁量権の逸脱・乱用がある。文部科学大臣自由には判断できるわけでなく「ハの規定」「本件規定」にもとづき、審議会の意見を聞いて判断することになっている。またこれは、子どもの学習権の問題である。無償化法の仕組みから言って広い裁量の余地はない。

 判断の内容も、公安調査庁長官答弁、20年以上前の広島の学校について指摘した判決の存在、産経の「疑惑」報道など、判断の基礎資料が誤っており、資料の評価方法も誤っている。

以上が控訴理由の骨子ということでした。

 控訴審第1回期日(3月20日)に向けて、弁護団の追加主張(朝鮮学校が法令に基づき適正に運営されていることを示す)などが準備されているということです。

 こうした理論面の準備とあわせて、大阪に学び、裁判官の朝鮮学校への偏見を払しょくする努力をしていこうと語られました。

 続けて金舜植弁護士は、全国5か所で裁判が展開されている状況を踏まえてのお話しでした。

集会-2


 現在一審段階では1勝2敗であり4月には愛知で判決が出るが、最終的に最高裁で判断されることになる。「ハの規定削除」についてさらに深化して緻密に理論を展開しなければならない。一審判決は「政治的・外交的判断でない」と言ったが、控訴審で政治的外交的理由で「ハを削除」したことをもう一度主張しなければならない。文部科学大臣が自由に判断できるかのように東京の一審判決は言うが、本来は教育の専門家が審査会で判断する仕組みになっている。

 大阪の裁判は行政訴訟の形をとった。裁判所で「指定の適否」を判断してもらう、という形である。そのため大阪では、文部科学省に出した審査資料を裁判所に提出した、東京も審査資料を出して、基準に適合していることを裁判所に示す、等の今後の準備も語られました。

 師岡康子弁護士からは、今後、他の地裁でも出している前川喜平前文部科学事務次官の陳述書や、『朝鮮学校物語』なども証拠として出してゆく予定であり、最低限、事実に基づいて、法律に基づいて、判断してほしい、国側は他の裁判で「規定に適合するための4つの要件」などを後付けで出してきて「社会的に不当な団体とのかかわりがないこと」などと言っている、等、国の対応の酷さへの対策も語られました。
 
集会-3


 控訴審第1回期日を1か月後に控えて、弁護団の意気込みと緊張感がひしひしと伝わる弁護団からの報告でした。

 3月20日には私たち支援者も、控訴審を1回や2回で終わらせるようなことはさせない意気込みを裁判所に示すために、傍聴に駆け付けましょう!(案内チラシはこちらからどうぞ)


■演題2:
国連の条約機関と人権理事会における朝鮮学校差別問題に関する懸念と勧告(2008年~)
(在日本朝鮮人人権協会 朴金優綺さん)
 

集会-4


 「国際社会からみた朝鮮学校差別問題」について、国連への働きかけを牽引してくれている朴金優綺さんが、スクリーンの映像で国連での活動の模様を紹介しながら語ってくれました。2013年に国連の社会権規約委員会へ、2014年に国連の人種差別撤廃委員会へ働きかけ(ロビーイング等)を行い、それぞれの「総括所見」において高校授業料就学支援金制度を朝鮮学校に通う子どもたちに適用するようとの趣旨の勧告を出すことを実現させてきたことはこれまでも報告をしていただく機会がありましたが、その経験と、昨年11月の国連人権理事会の第3回UPR日本審査で出された勧告の内容と意義を語り、そもそもUPR(Universal Periodic Review)とは何かの説明も含めて、知らなかった世界に目を向けることができる興味深いお話でした。5年ごとに国連加盟国すべての人権状況の審査を行い、対象国は他の国から人権状況の審査を受けるという、国家による相互審査のシステムが国連にあり、日本は昨年その対象国だったのでした。お話の中で印象的だったことを紹介します。

 朝鮮学校について4つの問題点
  ①社会権規約委員会と人種差別撤廃委員会の勧告に従い、朝鮮高級学校にも高校無償化制度を適用せよ
  ②人種差別撤廃委員会の勧告に従い、朝鮮学校にも補助金を再開・維持せよ
  ③自由権規約委員会等の勧告に従い、朝鮮学校にも税制上の優遇措置(寄付金控除など)における差別を撤廃せよ
  ④子どもの権利委員会等の勧告に従い、朝鮮高校卒業生にも大学受験資格を認めること

を訴えたが、4項目すべてに国連の条約機関の「勧告に従い」と前置きすることによって、日本における朝鮮学校についてこんなにたくさんの勧告が日本政府に出されていることを各国が改めて認識してくれる契機となったと思われる。特に「無償化からの排除」については非公式な発言ながら「本当に朝鮮学校にだけ支給されていないの?!自分の国も完ぺきではないけれど、21世紀においてこんなあからさまな差別をしているなんて!」と、かなりストレートな反応が返ってきて、訴えの正当性に自信を深めることもできた。

 2017年11月14日に、日本政府に対して106か国から218項目に及ぶ勧告が出され、その中で初めて、ポルトガル、パレスチナ、オーストリア、朝鮮民主主義人民共和国が朝鮮学校に関する勧告を出してくれた。ポルトガルは「高校無償化」制度を「すべての学校に適用することを確保せよ」という趣旨で、唯一適用されていない朝鮮学校に適用せよとの意味であることがわかる。オーストリアは「社会権規約委員会及び人種差別撤廃委員会の勧告に従って」という文言によって、この2つの委員会から朝鮮学校について日本政府に勧告が出されているので、朝鮮学校差別問題を是正することを暗に求めていることがわかる。朝鮮民主主義人民共和国は「高校無償化」問題以外の朝鮮学校差別問題も含めて最も具体的な勧告を出した。これらの各国からの勧告は、これまで出された条約機関の勧告を補足し価値を付加するとともに、日本政府による朝鮮学校排除が国際的にみて人権侵害であることを改めてはっきり示してくれた。

 国連へ行く前段の取り組みとして、NGOレポートの提出、日本で各国大使館へのブリーフィング(この内容を各国大使館が本国へ送ってくれるように要請)を行い、その上でジュネーブへ行き国連欧州本部でのロビーイング活動を朝鮮大学校の先生とともに行ってきた。こうした活動もあり、朴金優綺さんは第10回国連マイノリティ・フォーラムに日本から初めてのパネリストとして招かれた。差別の現実だけでなく、若者たちがこれに対してどう闘っているかも話してほしいと頼まれたので、朝鮮高校生の法廷闘争や朝大生の毎週の金曜行動のことなども話してきた。この闘いが世界のマイノリティの運動のモデルとなるようなものなのだと感じた、等々。

 朴金優綺さんの未来に向ける眼差しに力づけられるような報告でした。

■演題3:
「朝鮮学校の子どもたちに笑顔を!全国行脚」の報告
 (東京朝鮮高校の裁判を支援する会 共同代表 長谷川和男さん)


集会-5


 長谷川さんは朝鮮学校無償化ののぼり旗を担いで歩いて全国の朝鮮学校67校を回るという行脚を昨年夏から始めて、様々な出会いがあった各地の模様を、映像も使いながら熱い思いで報告し、広島の判決の日の模様、大阪の判決の日の模様も紹介してくれました。3日前には山口にいた、まだこれからも続けると笑顔で語ってくれました。

●朝鮮高校生からの発言

 東京朝鮮高級学校の生徒たちを代表して2名の高校生の発言がありました。
 昨年9月13日、この日を忘れない。勝利を確信して堂々と裁判所に向かった同胞たちの顔が、判決を聞いてみるみる悲しみに歪んでいった、日本は法律を使ってまで私たちを否定したいのか、・・・しかし勝利を必ず勝ちとります、という高校生の決意と、弁護団が悔しそうに生徒たちに謝罪したのを聞いて胸が痛んだという柔らかい若い心に接して、会場の支援者たちも粛然と聞き入った発言でした。

集会-6



●司会者のまとめと全員合唱

 司会の柏崎さんから「若い世代の高校生を日本社会の差別に巻き込んでしまっていることを考えると胸が痛い。支援する会のメンバー一人一人が地道に訴えていくしかない」ということと、全国行動の資料も活用してほしいと呼びかけられました。最後に、文科省前金曜行動のテーマソング「声よ集まれ、歌となれ」を柏崎さんのギター伴奏で参加者皆で歌い、再決起の思いを深めて、集会を終えました。 

傍聴よびかけチラシ




logo.jpg <会員募集のお知らせ>

 「東京朝鮮高校生の裁判を支援する会」では、会員(個人・団体)を募集しています。

 会の活動には、ミーティングやイベント開催のための会場使用料、チラシやパンフレットの作成費用、事務経費や郵送料など、さまざまな費用がかかります。
 活発に活動を継続し、裁判を支援していくためにも、ぜひともお力添えをいただければと思います。

 年間の会費は1口1,000円です。なお、会員のみなさまには裁判や会の活動に関するニュースを送付させていただきます。

 (申込方法など、会員募集に関する詳細はこちらをご確認ください。)
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テーマ : 高校生
ジャンル : 学校・教育

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Author:mushokashien

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